卑劣恋愛
「武はあたしのシモベだから、あたしの言う事だけ聞いていればいいんだよ」


千恵美は武に話かけながら鞄からペットボトルの水を取り出した。


それは真新しいようでキャップを外す時にカチカチと音が鳴った。


それにストローを差し込み、あたしの前に置いた。


「じゃ、また来るからね」


「ちょっと待って……!」


手を伸ばして2人を引き止めることができたらよかったのに。


小屋のドアは無情にも閉められてしまったのだった。


「くそっ……!」


あたしは毒づいて歯ぎしりをする。


このままじゃ武は千恵美の奴隷になってしまう。


なんとしてでも目を覚まさせないといけない!


そしてあたしも、ここで死ぬわけにはいかない……。


あたしはゴクリと喉を鳴らして、用意された水を飲んだのだった。
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