卑劣恋愛
「もしもここを出ることができたら、武はどうする?」


「そんなの、千恵美に会いに行くに決まってるだろ」


武は躊躇なく返事をした。


「そっか……」


あたしは後ろ手に持った金槌をキツク握りしめた。


食料を半分にして別けたとしても、どっちが先に死ぬかわからない。


仮にあたしが先に死んだとしたら、武はこのドアをぶち破って千恵美に会いに行くかもしれない。


そう思うと心が乱れた。


武の最期の瞬間を看取るのは千恵美かもしれない。


そんな不安が生まれたのだ。


「あたしと、ずっと一緒にいてよ……死ぬまで、ずっとだよ……」


あたしは口の中でブツブツと呟きながら武に近づいて行く。


武はペットボトルから口を話して、怪訝そうな顔をこちらへ向けた。


「一緒にいて欲しいんだよ!!」


あたしは叫ぶと同時に、金槌を武の頭に振りおろしていた。
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