卑劣恋愛
あたしは返事をせず、引き出しからカッターナイフを取り出してベッドへと戻った。


さっきまでと同じように武の胸に自分の顔をうずめる。


そして、カッターの刃を自分の手首に押し当てた。


邪魔者が入って来る前に、早く終わらせないと……!


ドアが蹴破られてしまうのと、あたしが手首を切るのはほぼ同時だった。


顔を向けると、智樹と千恵美が部屋の中に入って来た。


「ノドカ……!」


智樹があたしの手首の傷を見て青ざめる。


「あ~あ、武のこと殺しちゃったの?」


千恵美はあたしを見下ろして楽し気な声で言った。


「邪魔しないでよ!」


あたしはもうすぐ武を同じ世界に旅立つのだ。


誰にも邪魔はさせない!

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