卑劣恋愛
☆☆☆

それからあたしは昨日よりも30分早く家を出た。


サッカー部の朝練に参加すると言っていたけれど、一応武の家に寄って行く。


「おはようノドカちゃん。ごめんね、今日も武は朝練なのよ」


武のお母さんは本当に申し訳なさそうに言う。


あたしは左右に首を振って「一応、来てみただけですから」と、学校へ向かう。


サッカー部の朝練は登校時間の2時間前から始まる。


今度からはあたしもそのくらいの時間に登校しよう。


そう決めて、A組のドアを開いた。


さすがに時間が早いから登校して来ている生徒は1人もいない。


あたしは荷物を机に置いて、ベランダに出た。


グラウンドを見下ろしてみると、サッカー部の生徒たちが練習に励んでいる姿が見える。


でも、あと30分ほどすれば終わるはずだった。


教室へ戻って来た武に、真っ先にお疲れ様を言ってあげよう。


あたしはそう考えて、鼻歌を歌ったのだった。
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