卑劣恋愛
☆☆☆

今度こそ、うまくいくはずだ。


ここまで放課後が来るのが待ち遠しかった日もないくらいだ。


6時間目の授業が終わるころ、あたしはまちきれなくて自然と笑みが浮かんできていた。


それに気が付いて慌てて口元を手で押さえて隠す。


そんなことを繰り返していると、念願の放課後を迎えた。


あたしはいつも通りゆっくりと帰る準備を始めた。


千恵美と智樹の2人はすでに教室を出ていたけれど、『いつも通り』を装うためにクラスメートが全員いなくなってから教室を出た。


サッカー部の練習を見られないのが少し残念だけど、武ならきっと理解してくれる。


これは、あたしと武の未来に関係していることなんだから。


あたしは1人で教室を出ると、早足に予定場所へと向かったのだった。
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