俺様彼氏と冷静彼女……こんなので付き合っていける?
「じゃあ、準備するね、キルのほうよろしく」
南はキッチンで夕食の準備をする
「涼ー、出来たよ〜」
涼はキッチンに入った途端に固まった
「……えっ、ピーマンじゃん〜」
露骨に嫌な顔をした
「ピーマンだけじゃないでしょ、ピーマンの肉詰めだよ」
「チェッ、ピーマンいらないって言ったのに……」
「オーロラソースだったら食べれるよ、座って、座って(笑)」
涼はだるそうに椅子に座った
「いただきますは?」
涼はキョトンとしていた
「あっ、言わないの?」
「……いただきます」
「いつも、一人で食べてるの?」
「だな」
「あのね、私のお母さんもピーマン嫌いなの、でもこれだけは食べれるから大丈夫よ」
涼はピーマンの肉詰めを前にしてじーっと睨めっこをしている
(食べれないかな?)
南は涼の隣に座り、お箸で肉詰めを挟んで涼の鼻近くに持っていく
「涼、ほら匂い嗅いで、ソースのいい匂いと肉汁も見えるでしょ、ソースがピーマンの苦味を消してくれるよ、はい、あ〜〜ん」
涼は口を開けた
パクッ
「……どう?」
「………上手い!」
南がお箸を渡すと涼はご飯を口1杯に頬張る
モグモグと勢いよく食べおかわりを要求した
あっという間に涼はたいらげお腹をさする
「あー、美味かった!美和さんのメシも美味いけど南のメシも美味いな」
「美和さんてハウスキーパーさん?」
「そう、昼から17時まで来てくれる」
南は食器を下げながら話す
「誰かと食べると美味しいよね、私もお母さんが遅い時は一人で食べてたけど引っ越してきてからはお母さんが作ってくれて今は三人で食べてるからやっぱり違うよ」
「マジか、そうなんだ、じゃあまた作ってくれ」
「(笑)いいよ、あっ、これピーマンじゃないのも一応作っておいたの、美和さんに焼いてもらってね、冷凍しとくから」
「ズリぃ……」
涼はやられたというように天を仰ぐと椅子から立ち上がった
「涼、ご馳走様は?」
「ご馳走様でした」