とろけるような口づけは、今宵も私の濡れた髪に落として。
辻さんは、今流行りのカラーとか、髪の手入れとか丁寧に教えてくれた。
女性との関係は派手なのかもしれないけど、それでも話上手で会話は苦ではない。
今まで男性だということで逃げてきたけど、普通に恋愛感情抜きの男性恐怖症抜きで話せば良い人なのかもしれない。
逃げていた先日までの私では気づけなかった。
「辻さんって良い人だったんですね」
店の前でしみじみと言うと、階段を上がっていた辻さんが噴出した。
「華怜ちゃんは、親が決めた婚約者がいるぐらいがちょうどいいよ」
「なんでですか」
「俺を良い人って言うのがね。世間慣れしてない」
俺は別にいいんだけどね、と笑いつつ曖昧な答えのまま去って行った。
良い人って言われて照れたわけじゃない。でも嬉しそうだったのに否定した?
やはり男性はわからないことばかりだ。