とろけるような口づけは、今宵も私の濡れた髪に落として。
二重の大きな瞳に、ぷっくりした色気のある唇、高い鼻。

同性なのに全く作りが違う。どんな徳を積めばこんなお人形みたいな綺麗な女性に生まれるのだろう。

しかも爪まで手入れされてて指先まで美しい。あの爪にネイルさせてほしい。

お土産をもらったらすぐに帰るつもりだったらしいけど、途中で悪阻で気分が悪くなった紗矢さんを強引に部屋に連れてきて休ませた。

トイレに入った瞬間、妊婦さんに飲ませていいお茶を必死で検索した。

冷蔵庫の中に飲ませていい飲み物が麦茶しかなかった。

でも彼女は、控えめに微笑んで麦茶を飲んでくださった。

大きなお腹に折れそうな両手足。これじゃあ歩きにくそうだなって、じろじろ見てしまう。

「すみません。急に押し掛けたのに、こんな感じで」

「いえいえ。私こそ、ハンバーグなんて作っちゃってごめんね。食べれないよね」

温かい食べ物の匂いが駄目らしく、中途半端に焼いたハンバーグに蓋をして冷蔵庫に隠した。もう少し悪阻について勉強しておけばよかった。

「いえ。ぜひ今度食べさせてください。というか、料理得意ではないので、尊敬します。私の旦那も兄も料理できちゃうから、全然自分の料理に自信持てなくて」

「あー、わかります。一矢くん、器用でなんでもまんべんなく作れちゃう。というか、敬語じゃなくていいからね」
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