とろけるような口づけは、今宵も私の濡れた髪に落として。
「嬉しいです。私も呼び捨てでお願いいたします。あ、お願い」

はにかんだ紗矢さんを見て、思わず結婚しそうになった。

一矢くんと結婚したら私は、紗矢さんのお姉さん……。

一人っ子の私にこんな美人な、前世で徳を積んできたような妹ができちゃうんだ。

「お義姉さんのおじいさま、海外旅行に行かれたんですね」

「そうなの。ごめんね。つまらないお土産なんだけど」

 紗矢さんへのお土産は私たちのチョコとは違って、大きく重たいのは気になったけど。

「いえいえ。うちの父も事業拡大して忙しいけど、おじいさまも医院を新装したり、一時期大学で講義もされていたし。ようやくゆっくり人生を謳歌できていていいなあって思いました」

「……でも、それで医院の経営が悪化しちゃったらねえ。本当に色々と一矢くんには迷惑をかけたというか」

恥ずかしくて頭を掻いて苦笑すると、紗矢さんは不思議そうに首を傾げた。

「経営が悪化? どちらが?」

「あー……と内緒でお願いします。うちの祖父の」

「そんなはずないですよ」
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