とろけるような口づけは、今宵も私の濡れた髪に落として。
紗矢さんの旦那さんは、眼鏡をかけた知的な男性で、柔らかく笑うのが印象的だった。

常に優しそうなオーラを見にまとっていて、一矢くんとは正反対。

一矢くんは見た目はクールで、怒っているのかなって程無表情。でも一度表情が乗ると、ギャップもあってかとても格好いい。

「大丈夫? 抱えようか?」

しかも包容力あり。どんなわがままを言っても全部受け止めてくれそう。

「大丈夫。あ、でもちょっと洗面所借ります」

紗矢さんは、悪阻のせいでまだ気持ちが悪いようだ。

心配そうについていくが、ドアを閉められて寂しそうな旦那さんからは溢れんばかりの愛情が感じられた。

こんな風な旦那さんだったら結婚したら間違いなく幸せだな。

私がじっと見ていたのに気づいたのか、こちらをみて首を傾げ優しく微笑まれた。

「ごめんね。急に来て、俺まで家に上がらせてもらって」

「いえ――。いえ……あのう、一矢くんの家庭教師をされていたってことは、今でも仲がいいんですよね」

「そうだけど」

「一つ、聞きたいことがあるんですが」
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