とろけるような口づけは、今宵も私の濡れた髪に落として。
蜘蛛が散っていくかのように、美里さんの周りの女子生徒が消えていく。

彼女は噛んだガムの包み紙を持って震えているので、覗き込んでみた。

「どうしたの?」

「……なんでもないよ。大丈夫」

彼女も人に頼るのが苦手そうな子で、俺が話しかけると先ほどの女子たちと同じように逃げていった。

「……」

いじめ、というほど酷いものではないのか。これぐらいで大げさにしてみたら彼女たちの迷惑にかけるのかな。

それとも、今止めないと悪化してしまうのかな。

俺はつい思ったことを口にしてしまうし、この前俺が女子を注意したのを真琴はだめだと言っていた。

なので、あいつにもう一度、相談してから行動しようと思っていたんだ。

「ああ、女って自分より目立ったり、綺麗な存在にコンプレックスあるんじゃないかな。集団で足並みそろっていないと、悪目立ちするみたいな」

「ふうん」

「劉宮さんは、祖父が大きな歯科医院を経営しているし、育ちが少し一般人と違って浮いてるんだよね」

「そうか……?」

 怪訝そうな顔で聞いてしまったようで、真琴も同じようにしかめっ面になった。

「お前と同じだよ。劉宮さんは悪気なく、数万するようなシャンプーを口に出したり、ブランド品で身を包んだり、自慢するつもりがない自然体なのが鼻につくんじゃない」

「だからいじめるっていうのは、愚かで頭がおかしい行動だと思うのだが」

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