とろけるような口づけは、今宵も私の濡れた髪に落として。
「一矢くんは悪くないんです」

俺が自宅謹慎中に、女子が先生に言っていたらしい。

真琴が教えてくれたが、はっきり言って俺には馬鹿らしくて、どうでもいいことだった。

なぜ彼女を陥れることはして、俺にはしないのか。

彼女があんなにも傷ついているのに、どうしてそれに胸を痛めず俺のことを庇おうとするのか。滑稽だった。

彼女ならまず、同じクラスの女子の悪口さえ言わないだろう。

あんな馬鹿げた嫌がらせもしないだろう。

俺のことより、髪を切られた彼女のことを心配するべきではないのかな。

「あの子、おまえのこと小学校の時から好きだったらしいよ。学校違うけど、たまたま見かけたって」

「それで?」

俺が尋ねると、真琴は驚いていた。

「俺を好きだから彼女の嫌がらせしていいわけではない。免罪符にするな」

結局、俺は彼女が転校するまで毎日家を訪ねたが最後まで顔を合わせてもらえなかった。
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