とろけるような口づけは、今宵も私の濡れた髪に落として。
一人目のウソつきは美里さん。

彼女が嘘をつかなかったら、俺と彼女は早くに再会できていたかもしれない。

「彼女の連絡先とかわからない? 家に行っても門前払いで接触禁止って言われちゃったんだ。でもメールや電話なら接触してないだろ」

「……屁理屈だわ」

美里さんは呆れた顔をして演技して見せた。

「彼女は、戒律の厳しいカトリック系の学校へ異例の転校をしたのよ。学校に連絡したり学校の前に押しかけたら、さらに彼女の立場が悪くなるって理解してほしい」

「それは分かってる。俺だってそこまで馬鹿な行動をしたくないから、親友だった君に聞いている」

「残念ながら、携帯ももっていないしパソコンのアドレスさえ知らない。貴方のちからになってあげられないわ」

連絡をとりたくて学校内の教会のミサに毎日通っていたのに。

逆を言えば俺には彼女のように、粘り強く機会を待たなかった。

今すぐに、という衝動だけで付き動いていたにすぎない。

「悪かった」

「いえ。私もあなたと一緒。衝動的に謝って許されたいだけ。彼女の気持ちを一番に考えられていない今、誰も会わない方がいい」

俺が会いに行ったり、美里さんが真実を謝罪したら、現在髪を切られた現実から逃げている華怜さんはまた悲しみや苦しみを直視しないといけない。

自分の気持ちを晴らすために会うのは適切じゃない。

今の華怜さんには時間が必要だと。

でももし連絡先が分かっていたら、もっと早く再会できて、誤解を解けたのかもしれない。
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