とろけるような口づけは、今宵も私の濡れた髪に落として。
役所の近くのカフェで待ち合わせをしていたが、律儀な一矢くんは『15分遅れる』と連絡してくれたので、珈琲を先に頼んでのんびり待っていた。

15分ぐらい私は気にならないし連絡は要らない派だけど、彼との待ち合わせは5分でも遅れる場合は、連絡しよう。

今から離れていた時間を取り戻すならば、些細な価値観の違いも知っておいた方がいいと思うんだ。

15分なんて新作ネイルを見ていたらあっという間なのに、一矢くんは走ってカフェに入ってきた。

「ごめん。出かけに取引先から電話が来て」

「全然急ぐ必要ないよ。なんなら市役所は24時間受付してくれるらしいし」

「でも遅くは迷惑になるかなって」

走ってきたのに汗一つ掻いていないのに驚いた。

イケメンは汗かかない。

「すみません、アイスココア」

思わず吹き出しそうになってしまった。一矢くんって炭酸飲料より甘いものを好む。

てっきり珈琲を飲むかと思ったけど、家にココアやジュースがあるの不思議だったんだよね。

「で、美怜さんはどうだった?」
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