とろけるような口づけは、今宵も私の濡れた髪に落として。
メニュー表を見ながら、一矢くんも二階の様子を見ている。

上は時間があるときに優雅にお喋りするときがいい。今日みたいに珈琲だけってときは一階のここでいいけど。

「俺は華怜のドレス姿みたいんだけど、結婚式ってしないの?」

「結婚式かぁ。えー……一矢くんのお友だち呼びにくいしなあ」

「家族だけでハワイ行く? おじいさんが喜びそうだね」

「確かにそうだけど。紗矢ちゃんはどこでしたの」

「クラシックホテルのシャングリラってわかる? あそこの屋上に庭園があってさ、そこで結納して」

しまった。一矢くんと私じゃ生活水準が違った。最上階の予約が数年待ちの五つ星高級ホテルでって、確かそこって隣接して隣にもホテル作ってウエディングも始めたけど何年か先まで予約待ちじゃない。

話している内容が私にはついていけない。

「派手なのが嫌いなら、ハワイで写真だけとか」

「やけにハワイにこだわるね」

旅行に行った友達が、言っていた。ハワイの海岸で写真撮っている日本人多いけど観光客も写真を撮っていく場合もあるらしい。知らない人のカメラに残るのも怖いなあ。

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