とろけるような口づけは、今宵も私の濡れた髪に落として。
「単に、一週間ぐらいのんびり過ごしたいんだ。華怜と」

「ほお」

「父の暴挙で早すぎるぐらい早く社長になって、俺だってもう少し旅行とかしてみたかったから、これからは時間作って華怜といろんな場所行きたいなって。今は案内できる場所がハワイぐらい」

 海外旅行に行ける暇なんてなかったと苦笑するが、確かに私と同い年で大会社の社長って大変だと思う。

責任だって、抱えている仕事だって私とは比べられない。一矢くんが気晴らしになるなら、私も初海外にチャレンジしてみるのも悪くない。

「じゃ、婚姻届け出したら、指輪も作りに行こう。急いで間に合わせたやつあるけど、一生身に着けるなら、良いのがしたいしね」

運ばれてきたココアをすぐにでも飲み干しそうな勢いで一矢くんが張り切っている。

クールだの王子様だの言われていた本人が目の前で、結婚に対し目を輝かせココアを飲んでいる姿は、可愛い。

私も頷いて急いで珈琲を飲みほした。

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