とろけるような口づけは、今宵も私の濡れた髪に落として。
なるほど私の苺のためか。誰かに聞いたのか調べてくれたのかな。こんな女性ばかりのカフェ、絶対に一矢くん、興味ないだろうに。

雨がまた段々と大きくなってきた。

ボンネットを叩いて私に知らせてくれている。

――この鈍感、ばかやろう。

そう雨が私に必死で気づかせようとしてくれている。

――彼は今も昔も、変わることなく私のためにいつでも真っすぐに気持ちをぶつけていると。

でも私は今、どうだろう。彼の気持ちの上で胡坐をかいて、気持ちよくなっているだけな気がする。

手に大きな紙袋を持って、雷が駄目な私のために雨の中走って車に帰ってきてくれている彼。

あの大きな二つの紙袋は、彼が持つもの?

本来はお互い一つずつ持って一緒に歩けばいいのに。そうしたら傘だってさせたのに。

濡れないで、車まで戻ってこれたのに。

彼が私を好きだと言って、私もそれがうれしいと受け止めたけど。

私はちゃんともっと、彼のように気持ちを伝えていない気がする。

そんなジレンマが、まるで体に稲妻が走ったように襲ってくる。

駐車場まで数メートルなのに、傘も差さない彼はすでに肩が濡れていた。

なので、今にも雷が落ちてきそうな空の下に私も飛び出して、小さな傘をさす。

「いいよ、中に入ってて。風が強くて雨が斜めなんだ」
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