とろけるような口づけは、今宵も私の濡れた髪に落として。
「家に帰ろう。我慢できない」

足元に放り投げていたランチを、後部座席に移動するのまではボーっと眺めていた。

でもそのあとの記憶はあいまいで、浚われるように自室に戻って、ただただ高揚していく一矢くんに私も甘く体が痺れていくことしか感じられなかった。

***

経験なんてないけれど、せめてシャワーを……。

なんて言える余裕なく、彼の寝室に連れて行かれた。

お笑いのDVDが本棚に沢山並べられ、可愛い猫の肉球クッションが机の椅子の上に乗っている。

そういえば、私、一矢くんの寝室に入るの初めてかも。

「じろじろ見ないで」

「えー、だって全然イメージと」

違うねって言うつもりが固まった。

ネクタイを解く彼の指があまりにも艶めかしくて、この先の行為を暗示ている。

ネクタイを机に放り投げ、少しだけ空いていたカーテンを閉めると、部屋は薄暗くなった。

叩きつける雨の音をバックに、上着も机に放り投げ、一矢くんが近づいてくる。

「そのぉ、やっぱシャワーに」

「うーん」

にやにや笑いながら、一矢くんは自分のシャツのボタンを器用に片手で外していく。

「ごめん。待てないや」

ベットの下にシャツを転がし、ベットの上でわたわたしている私の横に座ると抱きしめてきた。

「ずっと、ずっと、ずっとだよ」

私の首に顔をうずめると、首筋に強く吸い付いてきた。

「ずっとこうして、華怜に触れたかったんだ」


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