とろけるような口づけは、今宵も私の濡れた髪に落として。
***

小さく鼻歌を歌いながら、遠くで洗濯機が回る音。

彼がしっかりしめてくれたカーテンの隙間から、窓を叩きつける雨が見える。

何時だろうかと手をシーツの上でさ迷わせるが、定位置に携帯が置いていなかった。

そこで私はここが自分のベットではないことに気づいた。

横を見ると、一矢くんの姿がいない。あたりを見渡すと脱ぎ散らかしたはずの雨で濡れた服が見当たらなかった。

……今何時だろう。

それよりも、まだ体中、至る所に余韻がある。触れられていた部分や、彼の体温を思い出すと、羞恥で体が火照る。

甘く痺れて動けないでいると、洗濯を終えた彼が部屋に入ってくるので目を閉じた。

小さく歌っているけれど、何の歌だろう。ご機嫌が良いのだけはわかる。

再びベットに入ってくるので、私の心臓は今にも口から飛び出しそうだった。

彼の長くて大きな指が私の額を撫でると、髪を梳くように指先で遊ぶ。

クスクスと笑う無邪気な彼に、寝たふりをやめて見上げた。

一矢くんは座ったままで私の髪を撫でていた。

驚くほど優しい顔。さっきの色っぽくて興奮していた男の人と同一人物には見えないほど、穏やかな表情だった。

「起きたの?」

< 190 / 205 >

この作品をシェア

pagetop