とろけるような口づけは、今宵も私の濡れた髪に落として。
 彼の幸せの沸点はかなり低いようだ。

でもこれから私が彼を不安にさせないように、恥ずかしいけどちゃんと気持ちを伝えていくってことが前提だ。

 全部ふっとばすような幸せを一矢くんに。

安らげる甘い時間を、沢山一緒に過ごせるように、私は嘘偽りなく伝えていこうって思う。

「とっくに雷なんて乗り越えてたよ。隣に一矢くんがいれば、他には五感が動かないからね」

へへって笑うと、「抱きしめたい」とつないでいた手を強く握られた。

私も早く抱きしめてほしい。雨なんて、雷なんてさっさと忘れさせてッて思うよ。

それから一年後に私たちは、白鳥さんや美里、家族と少人数に見守られながら挙式披露宴を行うし、ベネツィアに新婚旅行にも行く。

喧嘩もしたし甘いだけの時間じゃなかったけど、式当日に腰まで伸びた私の髪を彼が指先で梳くって、とろけるような口づけをくれるから、だから私はうっとりと目を閉じるんだ。

今日も明日も、この人の隣は幸せだって。

  Fin
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