とろけるような口づけは、今宵も私の濡れた髪に落として。
「一目ぼれってこと?」

「いえ。どちらかというと、憎い、絶対に好きにならないって頑なに拒絶してたんです」

「華怜は男全員、拒絶してんじゃん。憎みすぎて男として見てない相手ってこと?」

「そういう捉え方もありますね。どっちだろ」

 うーん。でも朝ご飯の会話は嫌じゃないし、私なんかの言動で真っ赤になる彼は新鮮だった。

「治ったかどうか、誰かで確かめてみればいいじゃん」

「誰かって、あ、白鳥さんの旦那さんとか?」

「良い考えじゃん。白鳥さーん」

レジの横のカウンターでパソコンを開いて仕事をしていた白鳥さんが、こちらを振り向いた。

「何?」

「華怜が男性恐怖症治ったか試したいって。ヘアサロンのメンバーも呼んでご飯食べに行きません?」

 美香さんはどさくさに紛れて、辻さんとご飯を食べようと画策している。

 でも美香さんや白鳥さんがいるのは安心するし、上の従業員なら私が目も合わせなくても理由が分かってるから平気かもしれない。

 白鳥さんは私をじっと見てから、うん、と頷く。

「一回試してみるのもありかな。上のメンツと行ってきな。予約確認して、早く上がれそうなら上がって構わないし」

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