とろけるような口づけは、今宵も私の濡れた髪に落として。
「そうかな。華怜は本当に男を拒絶してるけど」

「いやあね。恋愛の苦しみも楽しみも知らない女なんて、浅いわよお。その点、顔重視で振り回されて馬鹿な恋愛してる美香ちゃんは可愛いわあ」

「褒めてないじゃん」

酷いって言いながらも、美香さんは楽しそうだった。

私は逆で、恋愛の話とか自己分析とかされちゃうと委縮しちゃう。

恋愛から逃げているって自分に負い目があるのかもしれない。

「あれ? 玄ちゃんママたち盛り上がってるじゃん」

「来たわ。顔だけの男代表。塩、塩」

慣れた手つきで入ってきたのは、辻さんとヘアサロンの店員さんだろう。

いつも靴ぐらいしか見ていないから、執拗に話しかけてくる辻さん以外は顔がはっきりとは覚えていない。

「鼻が曲がっちゃうぐらい、香水がきついんですけど」

「あはは。立ち仕事だから汗かいてたら嫌だなって。せっかく華怜さんや美香さんに誘われたんだからね」

「お疲れ」

辻さんともう一人の男性が美香さんの横に座った。

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