極艶恋~若頭は一途な愛を貫く~
深夜なので、寝ている友人の家のインターホンを鳴らすわけにもいかず、実家も遠いので八方塞がりである。

実乃里が深いため息をつくと、一尾は「しゃあねーな」と言ってギアをドライブに入れ、ウインカーを出して走行車線に走り出た。


「どこに行くんですか?」

「事務所。部外者を泊まらせるのは禁止なんだけどよ、今は誰もいないはずだし、内緒で泊めてやるよ。この前、姉ちゃんには悪いことしたからな……」


“悪いこと”とは、半月ほど前に組事務所内で実乃里が斑目に絡まれた一件らしい。

安易に事務所内に上げてしまい、かつ斑目に取引を持ちかけられた実乃里が困っていても助けなかったことで、後から龍司に叱られたというのだ。


「だからさ、あの時の詫びというか、そんな感じで泊めてやる。あー、けどバレたらまた若頭に怒られる。勝手に入れない約束を破ることになるからな。若頭には言うなよ?」

「はい、言いません。私も事務所に来るなと言われてるので」


龍司との約束を破るのは実乃里も同じで、心苦しく思う。

けれども今は他に頼れる相手もおらず、後ろめたさには目を瞑ることにした。

その上で、気になったことを問いかける。


「龍司さん、厳しいんですか?」

「変なところで厳しいな。悪いことすんなって言われる。なんだろなー、俺に足洗わせたいんじゃないかと思う時もある」


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