極艶恋~若頭は一途な愛を貫く~
一尾は、極道ならば悪事をやってなんぼという考え方のようだ。
詐欺的なことで大金をせしめてくれば、斑目をはじめとした上役は褒めて認めてくれたが、龍司だけには説教をされたという。
一尾はそれを不思議がる。
彼の実家は東北の古い酒蔵で、猿亘組に入った時に家族との縁も切ったらしい。
だが龍司は、たまには家族に元気でやってると連絡しろと一尾に言うそうだ。
『親は酒蔵を継いでほしいと思っているんじゃないか? お前は酒造りは嫌いか?』
そんな風に、一尾の里心を揺さぶるような問いかけをしてくる時があったという。
雨で視界不良の夜道を、一尾はかなりのスピードを出して運転しながら、龍司の言動に困惑しているのだと話してくれた。
一方実乃里は、龍司がなぜそのようなことを言ったのかがわかるので、ひとり胸を熱くしている。
実乃里の頭には、晩夏のビルの屋上で、刑事の杉谷から聞いた話が蘇る。
荒れていた少年時代の龍司は、杉谷によって正しい道へと導かれた。
杉谷に出会わなければ、龍司は喧嘩に明け暮れる日々を続け、もしかすると今頃は本物の極道をしていたかもしれない。
杉谷のような人物が、少年時代の一尾の側にいなかったことを、龍司は悔しく思っているのではないだろうか。
そして今からでも一尾に、真っ当な人生を歩ませてやりたいと考えているのだろう。
(きっとそうだよ。龍司さんは、正義感あふれる優しい人……)
詐欺的なことで大金をせしめてくれば、斑目をはじめとした上役は褒めて認めてくれたが、龍司だけには説教をされたという。
一尾はそれを不思議がる。
彼の実家は東北の古い酒蔵で、猿亘組に入った時に家族との縁も切ったらしい。
だが龍司は、たまには家族に元気でやってると連絡しろと一尾に言うそうだ。
『親は酒蔵を継いでほしいと思っているんじゃないか? お前は酒造りは嫌いか?』
そんな風に、一尾の里心を揺さぶるような問いかけをしてくる時があったという。
雨で視界不良の夜道を、一尾はかなりのスピードを出して運転しながら、龍司の言動に困惑しているのだと話してくれた。
一方実乃里は、龍司がなぜそのようなことを言ったのかがわかるので、ひとり胸を熱くしている。
実乃里の頭には、晩夏のビルの屋上で、刑事の杉谷から聞いた話が蘇る。
荒れていた少年時代の龍司は、杉谷によって正しい道へと導かれた。
杉谷に出会わなければ、龍司は喧嘩に明け暮れる日々を続け、もしかすると今頃は本物の極道をしていたかもしれない。
杉谷のような人物が、少年時代の一尾の側にいなかったことを、龍司は悔しく思っているのではないだろうか。
そして今からでも一尾に、真っ当な人生を歩ませてやりたいと考えているのだろう。
(きっとそうだよ。龍司さんは、正義感あふれる優しい人……)