百物語は終わらない


私は話し終わり、ふうっと一本のろうそくの炎を消す。これであと九十九話で何かが起こる。

「な、なかなか怖いな……」

勇気が身体を震わせる。紫ちゃんたちも怖いと言ってくれた。へへ、嬉しい!!

「次、誰が話すの?」

私がニコニコしながら言うと、「じゃあ僕が」と出海が手を挙げた。オカルト好きの怖い話、とても楽しみ!!

出海はゆっくりと口を開いた。


これは、僕がルーマニアにいた頃に体験した話なんだ。

僕たち家族はルーマニアの首都、ブカレストに住んでいた。でも家族旅行でとある田舎町に行ったことがある。その時の話をするね。

僕たちが泊まったのは、最近できたばかりだというホテルだった。とても綺麗な部屋だったし、窓から見える景色も最高だった。いいホテルだと思ってたよ、この時は……。

その夜、眠っていた時のことだった。突然ジャーッとシャワーが急に流れ出したんだ。僕たち家族は驚いて、泥棒が入ってきたんじゃないかって思った。でも、泥棒の方がよかったかもしれないね。
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