百物語は終わらない
お父さんと僕がバスルームを覗きに行った。電気をつけて中に入る。……誰もいない。ただ、誰もいないはずなのにシャワーが流れ続けていた。

お父さんがシャワーを止め、その日の夜はそれ以外何も起きることはなかった。

田舎町には五日滞在したけど、ホテルでは必ずおかしなことが起きた。変な物音がしたり、扉が勝手にしまったり物が勝手に動くポルターガイスト現象が起きたり……。

どれも思い出すだけで身震いするけど、一番怖かったのはホテルから帰ってきてからだね。

ホテルから帰ってきてすぐ、当時僕らが住んでいた家でもホテルで起こったような現象が起き始めたんだ。

皿が勝手にテーブルから落ちたり、電気が点いたり消えたりしたり、あのホテルに泊まってからおかしな現象が続いた。

そしてある日のことだった。その日は朝から雨が降っていて、夕方になる頃には外は夜のように薄暗くなっていた。

両親は仕事でいなかったから、僕は弟と二人で留守番していた。一緒にゲームをしていた時だった。ガタン、という音が一階から聞こえてきたんだ。
< 11 / 22 >

この作品をシェア

pagetop