百物語は終わらない
教授はそう言い、山形県へ行った時のことをEさんに話して聞かせた。Eさんは教授の話を聞いて驚いたの。このムカサリ絵馬は、山の中にあった誰もいない古びたお寺から勝手に持ち出したものだったの。

「返さないとまずいですよ!」

Eさんはそう言うが、教授は「ここから山形県までどれほど離れていると思っているんだ!!」と言い、ムカサリ絵馬を返しに行こうとはしなかったの。

それから、教授はどんどんおかしくなっていった。目の下に隈ができ、どんどんやつれていく。大学内では、教授は誰かに呪われたという噂も流れ始めていたの。

呪いと聞いて、Eさんは真っ先にムカサリ絵馬のことが浮かんだ。そして、教授のもとへと向かったの。

「教授!どうしてそんなにやつれていらっしゃるのですか?ここ数日に何があったんですか?」

Eさんが訊ねると、教授は少しずつ話し始めた。家で眠っていると、金縛りに突然なり耳元でお経が聞こえること、お風呂に入ろうとしたら浴槽の蓋の上に男性の生首が一瞬見えたこと、無言電話が一日中鳴ったりすることを話したわ。
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