百物語は終わらない


紫ちゃんが話し終わり、にこりと微笑む。そしてろうそくの炎が消された。

「怖……。トイレ、もう行けないよ〜」

私がそう言うと、「お前、ヘラヘラ笑ってんじゃねえか!!」と勇気がガタガタ身体を震わせながら言う。

とりあえず、全員が話して一周回った。また私の番がやってくる。

「じゃあ次は、トイレに関する話をしようかな〜」

勇気と冬子が悲鳴を上げる。私は口を開いた。



私、出海、冬子、勇気、紫ちゃんの順番に怖い話を話してはろうそくの炎を消していく。一人が話すたびに、部屋の温度が下がり、ゾクゾクとした感覚が全身を襲う。だから、怖い話は大好き!!

恐怖のおかげで、眠気も全くない。夜中になってもまだ百物語は続いている。でも、もう終わりがやってきていた。

「…………私で最後ね…………」

紫ちゃんが手元に残った一本のろうそくの炎を見つめる。その瞳は、まるで絵画のように綺麗。一本のろうそくの炎に照らされた部屋は、始めより不気味さを増している。
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