百物語は終わらない
「わあ!雰囲気あるね」

出海がそう言って床に座る。私たちも適当に座り、各自持ち寄った食べ物を並べる。今夜の夕食はサンドイッチやピザにサラダ、そしてどら焼きやプリンなど。

「じゃあ早速話そうよ!!」

初めての百物語に私はテンションが上がっている。ドキドキして、早く自分の知っている怪談話を言いたい。

「わかったわ。陽葵から時計回りで話しましょう」

冬子がそう言い、私は早速話し始めた。


これは、私のお母さんが体験した話。

お母さんは高校を卒業してから他県の専門学校へ行くことになって、アパートで一人暮らしを始めたの。

そのアパートは新しいとは言えず、とても古いものだったんだけど家賃が安いということでお母さんは住むことにしたんだ。

引っ越した当日、お母さんが荷物を整理していると押し入れの奥に小さな人形を発見したんだ。黄色の鈴のついた可愛らしい人形。前に住んでいた人が置いていったものなのかもしれないとお母さんは思ったの。

人形は押し入れの中に入っていたにしてはきれいで、お母さんは棚の上に飾ることにしたんだ。その人形が気に入ってたんだって。
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