同窓会〜あの日の恋をもう一度〜
 逆に悠太くんの職場は卒業式が目前だし、学年末テストが終わっているとは言え一年生の担任なら、通信簿に生徒達の評価を入れなければならないから大変な時期だろう。それに部活動の顧問も持っているのだから、この日会えるのかと言うのも不安要素に上がっている位だ。

「うん、それは大丈夫。だってホワイトデーだろう? 今日くらいの時間には上がれるように前もって段取りするし、部活は卒業式前だから体育館は封鎖してるし何も問題ないよ」

 返事をしながらも悠太くんはまだ半信半疑の表情だ。逆の立場だったらきっと私もそうなるだろう。
 悠太くんの腕の中で、私は身を任せていた。悠太くんの緊張が肌で伝わるからか、私だけではないと言う安心感から私の緊張が解れて行く。

「それなら……。もし悠太くんさえ良かったら、うちでご飯一緒に食べよう……? 大したものは用意出来ないかも知れないけど、うちならお店みたいに時間を気にしなくていいから」

 今日みたいな見栄えのいい、手の込んだ料理は作れないけれど、二人でならカレーでもラーメンでも、きっと何でも美味しく食べる事が出来そうだ。

「うん、じゃあ、来月は結衣の部屋で過ごそう。で、俺はその日、泊って行ってもいいんだよな……?」

 私は無言で頷いた。もう、いっぱいいっぱいで顔が熱い。
 悠太くんは抱擁を解くと私の顔を覗き込んだ。
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