同窓会〜あの日の恋をもう一度〜
今日一日、私と坂本しかこの校内に居ないのなら、最初から鍵を開けておけばいいのに、いちいち入退室する度に鍵を開けたり閉めたりと、面倒ではないのだろうか。

でも、施錠しながら目視だけでなく口頭と手できちんと確認する坂本の姿を見ていると、何だか可愛くて思わず笑みが溢れそうになり、急いでそんな自分を戒める。

……私はどうして坂本の言葉や行動でここまで心を乱されるの?
それに、どうしてここまで坂本を意識してるの?

視聴覚室へ向かう間、お互い口を開かず黙って歩いた。

その時、階段の滑り止めに私の履いているスリッパが引っかかって、思わず転びそうになった。

「危ない!」

坂本が咄嗟に私の腕を掴んで、バランスを崩した私はそのまま坂本の腕の中に崩れ落ち……。

私は自覚してしまった。

この気持ちが、恋である事を。


< 48 / 119 >

この作品をシェア

pagetop