同窓会〜あの日の恋をもう一度〜

もどかしくて

自分の気持ちに気付いてしまった今、滅茶苦茶坂本を意識してしまう。
きっと今、私の顔は真っ赤になっているだろう。
耳に血液が行き渡り少し痛い。

それに心拍数もかなり上がって、心臓がバクバクと音を立てているのが坂本に聞こえてしまうのではないかと思う位、緊張も半端じゃない。

坂本の腕の中で固まってしまい動けなくなっている私もだけど、何故か坂本も固まって動かない。

「だ、大丈夫か？」

坂本の声が、先程とは打って変わって上ずっている。
今、私の顔を見られるのは恥ずかしいから顔を上げることは出来ないけれど、今の坂本の表情(かお)が見たい。

「大丈夫、ありがとう」

私は顔を上げず、視線だけ坂本に向けると……。
私に負けず劣らずの真っ赤な顔の、恥ずかしそうな表情(かお)をしていた。

これまで中学時代モテモテで、きっと進学してからも変わらず勝ち組の人生を歩んでいたであろう坂本も、現在の女性との接点は、女子中学生とその保護者、教職員と狭い世界にいる。
私みたいな地味な女でも、女性として意識しているのだろうか。

でも私が自分の気持ちを自覚したところでも、そんなことは坂本には全く関係なくて。
それに、もし今坂本に付き合っている彼女がいたとしたら。
仮に彼女はいなかったとしても、好きな女性がいたとしたら……。

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