同窓会〜あの日の恋をもう一度〜
「こちらこそ、疲れてるのに時間作ってくれてありがとう」

 私如きがイケメンにこんな事をさせてしまっていいのだろうか。きっと傍から見れば彼氏に何させているんだと非難されてもおかしくないだろう。ここでふと、自然に『彼氏』と言う立場にいる坂本の事を自然に受け入れられる様になった自分に驚きを隠せない。
 つい一ヶ月半前までは存在すら認めたくない位に恨んでいた坂本が、自分の事を好きだと言ってくれた事、それを受け入れた事、そして自分もそんな坂本に惹かれていた事……。

 坂本にエスコートされて私は車の助手席に乗り込んだ。
 私が座席に座った事を確認すると、坂本は静かに車のドアを閉めて運転席へと戻って来た。
 坂本が乗っている車は、この前乗せて貰った時の物と同じで七人乗りのワンボックスカーだ。後部は三列シートになっているので部活動で他校と交流試合がある時は、この車に生徒達を乗せているのかも知れない。

「この前も思ったんだけど、この車、大きいね」

 会話の切り口としては、きっと無難だろう。
 仕事の話でも良かったかも知れないけれど、まずは目に付いたもの、気になった事を口にしてみた。
 私の言葉に坂本が反応を示す。
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