俺様課長のお気に入り
「陽菜!」

「あっ、坂田君」

「今度の同期会だけど……ぐぇっ」

「ちょっ、ちょっと、要君!?坂田君が死んじゃう」

要君が、後ろから坂田君の首根っこを引っ張っていた。
男の人が私に声をかけようものなら、容赦なく攻撃することもしばしば……

「い、岩崎さん、く、苦しいです」

「坂田、人の嫁にちょっかいかけるなんて、いい度胸してるな」

「ち、違いますよ。同期会の話ですよ」

「同期会だと?そんな危ない会に、陽菜は行かせられない」

「危ないって……普通の飲み会だよ?」

「坂田みたいに、陽菜に気のあるやつがうじゃうじゃいるぞ」

「なっ、そんなわけないでしょ」

「陽菜。お前の鈍感さは、時にはかわいげがあっていいけど、もう少し警戒しろ!!」

「警戒って……もう、要君こそ過保護すぎだよ。私はもう、要君と結婚してるんだから。他の誰かになびくわけないでしょ。
お願い、要君。同期の女の子達とも、ゆっくり話したいの」

「……坂田、時間と場所を俺にも連絡しろ。それから、他のやつが陽菜にちょっかいかけないように、見張っておくように。もちろん、お前が陽菜に手を出してみろ。一生日の目を見られなくするからな。
陽菜、帰りは店まで迎えにいく。これが参加の条件だ」

「ありがとう!要君」

すごいことも言ってた気がするけど、とりあえず、にっこり微笑んでお礼を言っておいた。
これが最近発見した、要君を操る方法。
上目遣いで「お願い、要君」に弱いのだ。
まあ、真美さんに試すように言われたんだけど、これがまた効果絶大だ。

「相変わらず、岩崎さんの溺愛ぶりは半端ないな」

「なんだと、坂田」

「ひぃ。す、すいません。失礼します」

なんか……
要君に怯えて走り去る坂田君……よく見かける。


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