俺様課長のお気に入り
帰宅して、ケイ君の散歩をしながら考えた。
自分の素直な気持ちって……
昨日、要君が来てくれた時、すごく驚いたけど同じぐらいホッとしていた。
同じ布団の中で抱きしめられていた時も、キスされた時も、とにかく驚いたけど、恥ずかしかっただけで嫌だとは少しも思わなかった。
あれ?なんで嫌じゃないんだろう……?
〝陽菜ちゃんは、岩崎さんのお気に入り〟
夏美先輩の言葉が浮かんできた。
もしそうだとしたら、岩崎さんは私にとってどんな存在なんだろう?
その時、ポケットに入れていたスマホがなった。
ー要君だー
「も、もしもし」
「陽菜、もう大丈夫か?」
「う、うん」
「あれ?外にいるのか?」
「今、ケイ君の散歩中なの」
「出歩いてて大丈夫か?ぶり返すといけないから、無理するなよ」
「うん」
「陽菜。完全に元気になったら、またご飯を作って」
なんか、すごくあまい声でねだるように言われて、スマホをあてていた耳がくすぐったかった。
「うん。昨日のお礼も兼ねて作るね」
「楽しみにしてる。じゃあ、無理するなよ」
「うん。またね」
通話を切ると、自分の口角が上がっていることに気づいた。
今私、要君から電話がかかってきて、話ができて嬉しかった。
こんな気持ちになるのはなんで……
要君は私にとって、意地悪で失礼で、天敵とまで思うこともあって……でも今は、要君の声を聞いたりそばにいたりすると、なんか嬉しい。
ああ。
私にとって要君は特別な存在なんだ。
私、要君のことが好きなのかも。
そう思うと、これまでの自分の気持ちも納得がいく。
好きだから、嫌じゃないんだ。
どうしよう……私、こんな気持ちは初めてだ。