俺様課長のお気に入り
土曜日の今日、要君は昨日遅くに出張から帰ってきたとかで、溜まっていた仕事を片付けるために休日出勤することを、今朝電話で聞いた。

「営業さんは大変なんだね。しかも課長さんだもんね。要君って、すごい人だったりするんだね」

「今頃気付いたか。
まあ、それはいいとして、陽菜は今日どうしてるの?」

「うーん。家事も溜めちゃったし、それをやっちゃわないと。あと、ケイ君の散歩がてら買い出しをして、来週分のおかずの下ごしらえをしてたら、一日が終わりそうだなあ」

「じゃあ、帰りに陽菜の家に寄るわ。お礼にご飯を作ってくれるんだろ?」

「えっ、今日?」

「そう。仕事が夕方までかかりそうだから、夕飯を作ってよ」

「わ、わかった。何がいい?」

「そうだなあ……炊き込みご飯が食べたい」

「また手のかかるものを……」

「なんか言ったか?」

「い、いえ。作らさせていただきます」

「5時半には行けると思う。楽しみにしてる」



これは一大事だぞ。
要君がうちに来るだけじゃなくて、手料理を振舞わないといけないなんて。

うーん。
何を作るかなあ。

考えながら洗濯物を干していると、なんだか楽しくなってきた。
要君にとっては夕飯目当てかもしれないけど、会いに来てくれるみたいで嬉しい。

ご機嫌で家事を終えて、ケイ君と散歩に出た。
近所を回って、そのままスーパーへ行く。

「今日は買いすぎないようにしないと……」

気をつけながら、買い物を進めていく。
要君の喜ぶ顔を想像しながら買い物をするのも楽しい。


買い物を終えて帰宅し、簡単なランチをすませた。
さあ次は食材の下ごしらえだ。

「さあケイ君、頑張ってご飯の準備をしないとね。後で要君が来るんだよ」

「ワンワン!」

ケイ君は嬉しそうに尻尾を振った。

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