俺様課長のお気に入り
料理をするのは嫌いじゃない。
というより、好きな方だと思う。
実家にいた時も、翔君に頼まれてよく作っていたから。
重度のシスコンの翔君は、私が料理をすると大袈裟なぐらい喜んでくれた。
お菓子なんて作ろうものなら、感激しすぎて薄っすら涙を浮かべたぐらいだ。
シスコンはともかく、私だって喜ばれれば嬉しいし、また作ってあげようという気になる。
だから、相乗効果でそれなりに腕も上がったと思う。


料理もひと段落ついて、あとはお米が炊けるのを待つのみとなった。
ふと顔を上げたら、要君がこっちを見ていた。

「陽菜ってさあ、なんか鈍臭そうに見えるけど、料理の手際は意外といいんだな」

「鈍臭そうは余計だよ!!
実家にいる時も、兄に頼まれて料理とかお菓子をよく作ってたから、慣れてるんだよ」

「ふうん」

ん?なんか、機嫌が悪くなった?

「どうかした?」

「陽菜のお兄さんは、陽菜の手料理だけじゃなくて、手作りのお菓子も食べてたのか……陽菜、今度俺にも甘さ控えめのお菓子を作って」

「えっ、なんで?」

「ん?食べてみたいから」

「い、いいけど」


ピピーピピー

「あっ、お米も炊けた。じゃあ、運ぶからこっちに座って」

「おう。ケイもご飯だな」

「ワン!!」


今夜は、要君からリクエストされた炊き込みご飯だ。
あとは、焼き魚、揚げ出し豆腐、お味噌汁、それから筑前煮、おひたし。
炊き込みご飯といえば、筑前煮がセット。
炊き込みご飯で残った材料を使い切るには、ちょうどいいから。

「おお。陽菜って、思っていたよりすごいんだな」

「さっきから、一言余分だよ!
さあ、どうぞ」

「いただきます」

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