俺様課長のお気に入り
月曜日。
ケイ君に起こされて、また一週間が始まる。
朝の支度をしていたら、テーブルに置いてあったスマホが着信を告げた。
要君からだ。

「もしもし」

「陽菜、おはよう」

「お、おはようです」

不意打ちの電話に、緊張してしまう。

「なんだ?日本語変だぞ。
まあいあや。陽菜、今日から金曜日まで、名古屋に出張になった。また古巣のヘルプだ。お土産買ってきてやるから、いい子で待ってろよ」

「いい子でって……もう!
でも、本当に出張が多いですね」

「向こうで、俺じゃないと取引しないっていう、頑固な会長さんがいるからなあ。気に入られてるんだよ」

「大変だね」

「まあな」

「いってらっしゃい」

ん?この挨拶、なんだかくすぐったい。

「ああ、いってくる」

そっかあ。
要君、一週間ずっと会社に来ないのか……
なんか、さみしいなあ。
でも、要君も頑張ってるんだし、私も頑張らないと。





なんとなく張り合いがなかったものの、仕事は普通にこなせてたと思う。
流れるように毎日が過ぎていき、木曜日になった。
要君は、明日帰ってくる。

「陽菜ちゃーん」

「あっ、夏美先輩、なんですか?」

「なんか、今週の陽菜ちゃんは元気ないなあって思って」

「そ、そうですか?そんなことないと思いますけど……?」

「あっ、そうか!今週は岩崎さんが出張でいないもんね」

「うっ……」

「あっ、図星?」

「……なんとなく、さみしいです」

「陽菜ちゃん、すっかり恋する女の子ね。明日には帰ってくるから、あと少しだね」

「はい」




金曜日の朝、要君から電話がかかってきた。

「陽菜、土曜日はあいてるか?」

「いつも通りな感じで過ごすつもりだよ」

「じゃあ、土曜日はまたあのオープンカフェに11時半に待ち合わせな。お土産渡すからな」

「ありがとう。楽しみにしてるね。(ワン!)」

「おっ、ケイか。ケイに一週間ぶりに会えるのも楽しみだ。じゃあ、土曜日にな」

「はあい」

思わず顔がにやけてしまう。
電話と休日の約束一つで、こんなに気持ちが切り替わっちゃうなんて……
要君と会えると思うと、頬が緩んでしまうのは仕方がない。
素直に嬉しいから。



浮かれ気味で、一日の仕事を終えた。
きっと、夏美先輩にはそんな私の気持ちなんてお見通しなのだろう。

「陽菜ちゃん、週末は岩崎さんと会えるの?」

「はい。明日、また一緒に出かけてきます」

「そう。よかったわね。じゃあ、また月曜日にね」

「はい。おつかれさまです」



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