俺様課長のお気に入り
楽しみにしていた土曜日。

「ケイ君、準備万端だね。じゃあ、行こう!!」

久しぶりに要君と会えると思うと、自然と足取りも軽くなるし、顔もにやけてしまう。

「ケイ君、楽しみだね」

「ワン!」



待ち合わせのオープンカフェに着くと、すでに要君が座っていた。

「よう、陽菜。一週間ぶりだな」

要君に笑顔を向けられるだけで、鼓動が早くなる。

「久しぶり、要君」

「ケイも久しぶりだな。今日はいっぱい遊ぼうな」

「ワン!」

席について注文をすませると、この一週間の出来事を話していた。

「ほら、陽菜。お土産買ってきたぞ」

「ありがとう」

小さな紙袋を受け取って、開けてみた。
犬がモチーフになった、かわいいキーホルダーだった。

「うわあ、ケイ君にそっくり!」

「だろ?名古屋ならではの物をって思ってたけど、これを見つけて即決した」

「さっそく、家の鍵につけるね」

「ああ」



ランチをすませると、ドッグランに行ってケイ君をおもいっきり遊ばせた。
やっぱり、要君がいると私じゃできない遊びができて、ケイ君のはしゃぎっぷりもすごい。

「よしよし、ケイはかわいいなあ」

そう言って、要君がケイ君の頭を撫で回すと、ケイ君も気持ちよさそうにしている。

「陽菜はいいなあ。いつもケイといられて。
あっ、違うか。ケイはいいなあ。いつも陽菜といられて」

「えっ」

なんかすごいことを言われたような……

「さて、そろそろ帰るか。陽菜、今夜は何か予定はあるか?」

「特にないけど?」

「じゃあ、また夕飯を作ってよ」

「えっ……い、いいけど」

「よし。じゃあ、買い物しながら帰ろう」

要君は、私に何か言う隙を与えずに、ケイ君のリードを握ってさっさと歩き出していた。

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