俺様課長のお気に入り
「い、岩崎さん、なんですか急に」

「岩崎さん?なんでそんなに他人行儀なんだ?」

「だ、だって、ここ会社だし」

「今は俺とお前の2人だけだ。会社なんて関係ない」

「要君、なんでそんなに起こってるの?」

「なんで?わからないのか?」

「…………」

「俺は陽菜に、いい子で待ってろって言っておいたはずだ」

「う、うん。確かに言われたけど……私、何も悪いことしてないよ?」

「何もしてない?」

要君は顔をしかめて、ますます不機嫌な顔になった。

「陽菜、坂田と出かけるってどういうことだよ。あいつと付き合ってるとも聞いたぞ」

「付き合ってはいないけど……」

「けど?一緒に出かけるのは本当なのか?」

「……うん」

「行かせるわけないだろ」

「えっ?」

「陽菜が他の男とでかけるのを、許すわけないだろ。陽菜は俺のものなんだから」

あまりのことに、要君が言ったことが理解できないでいると、要君にきつく抱きしめられた。

「そんなこと、俺が許すわけないだろ」

「ど、どういうこと?だって、私と要君は付き合っているわけじゃないでしょ」

「陽菜は本当にわかってないのか?俺がお前をかまうのも、お前にキスをするのも、陽菜のことが好きだからだ」

「はっ?……要君が私のことを好き?」

「ああ、そうだ」

「だってそれはケイ君と同列で、ペットに対する好きと同じじゃないの?」

「そんなわけないだろ。俺は女として陽菜が好きだ」

「だって、だって、要君はいつも私をちびっ子扱いするし、それに星野さんと付き合ってるって聞いたよ。休日に一緒にいるのも見かけたし……」

不意に思い出して、唇を噛んだ。

「だから要君は、私のことをケイ君のついでにかわいがってくれてるんだって思ってた」

「陽菜、俺は星野とは付き合ってない。確かに告白はされたけど、好きなやつがいるって断った。それに、休日って……たぶん、仕事絡みだ。先方の都合で、一度だけ休日に一緒に取引先に行ったんだ。それを見かけたんだろう」


そういえば、あの日、要君も星野さんもスーツ姿だった。

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