蜜愛婚~極上御曹司とのお見合い事情~
「フランス料理が得意ならイカゲソよりフォアグラじゃないのか?」


 彼は幻覚でも嫌味を言うらしい。そしてかなり執念深いらしい。そう考えて、さらに私は機嫌がよくなった。


「すっかり酔っ払いだな。カップ酒ふたつで」

「酔ってないよ」


 幻覚の中で、私たちは意外に仲がいい設定のようだ。
 とにかく気分がよくて笑っていると、ついにお酒を取り上げられた。


「もう飲むな」

「せっかく開けてくれたのに」

「だったら冷蔵庫に入れておいてやるから明日飲めよ。ほら、漬物をツマミにできるだろ?」


 子供を諭すように言われ、素直に頷く。今の私はすっかり腑抜けて、反抗する気がまったく起きない。
 彼はビールを飲み終えるとこちらを向いた。


「俺は今から風呂に入ってくるけど、ここで寝るなよ」

「うん」


 頷いた私の顔を見て、彼は「寝るだろうな」と溜息をついた。


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