蜜愛婚~極上御曹司とのお見合い事情~
 彼の目が一瞬揺れたあと、身体に被さっていた温もりが引き剥がされた。


「風呂に入ってくる」


 先ほどと同じ台詞に素直に頷くと、彼は少し苛立たしげな顔をした。
 薄い部屋着の上に彼の上着が掛けられる。彼のフレグランスがふわりと私の前髪を揺らした。


「自分の部屋に戻れよ」

「うん」


 今の私はたぶん道端の酔っ払いみたいな状態なのだろう。これが現実なのか夢なのかわからない。


「うん」


 でも怒られているみたいなのにすごく心地よくて、私はもう一度彼を見上げて頷き、微笑んで目を閉じた。


 そこから先の記憶はない。



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