蜜愛婚~極上御曹司とのお見合い事情~
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(頭が重い……)
翌朝、私は通勤電車のつり革につかまり、欠伸を噛み殺していた。電車の揺れというものは最高の睡眠導入剤だ。立ったままでも眠れてしまう。
でも、瞼は今にも落ちそうなのに、頭の一部分はあることを必死で考えている。
(昨夜はいったいなにがあったの?)
思い出すことを拒否する理性と、突き詰めたいと叫んでいる心がせめぎ合う状態だ。それはつい一時間ほど前、目覚めたときから続いている。
今朝、目を覚ましてみたら私は自分の部屋のベッドにいた。目を覚ましたというより、蓮司さんに起こされたのだけど。
『おい。……乃梨子!』
眠りの底から浮かび上がってきて、ベッドに腰かけて私を見下ろしている蓮司さんの顔を視界が捉えたとき、私はベッドの中で硬直した。
『どど、どうしてここにいるの? 大阪じゃ……』
蓮司さんはそれを聞いて、今まで聞いたこともないような、大量の溜息を吐き出した。