蜜愛婚~極上御曹司とのお見合い事情~
『覚えてないのか?』

『ええと……?』


 覚えていないことはない。だけどそれは幻覚であって、現実ではないはずだった。
 しかし蓮司さんは今ここにいる。どういうこと?


『まあ覚えてないならいい。とにかく起きろ。七時半だぞ』

『……えええ?』


 そこからはもう戦争のようだった。
 史上最速で身支度を整え、牛乳一杯──いつもならホットカフェオレなのだけど、熱いものをふうふう吹きながら飲むような暇がなかった──を一気飲みし、蓮司さんと別出勤のため彼より一本早い電車に乗ろうとして駅まで走って乗り遅れ、現在に至る。


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