蜜愛婚~極上御曹司とのお見合い事情~
 ところがいくら待っても彼はこちらに背中を向けたままで、なにも起こらない。
 ねえ、昨日の私は大浴場備え付けの石鹸の香りだったけど、今日の私はもっといい香りがするのよ。こっちを向いて、確かめてよ。


「……蓮司さん」

「なに」

「もう寝ちゃうんですか」

「寝るためにベッドに入ってるんだろうが」

「…………」


 取り付く島もなく、打つ手もなく、高くそびえたつ壁のような背中を睨み続けて三分が経過した。


「蓮司さん」

「……なに」

「こっち向いてください」

「……俺は左向きで寝るんだ」


 最初にノックしたときは右向きで寝ていた気がするのだけど。



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