蜜愛婚~極上御曹司とのお見合い事情~
「おいしい。これ、すごくおいしいね」
湯気なのか涙なのかわからないけれど、なんだかみっともないことになっている鼻をすする。
「あらぁ乃梨子ちゃん、蕎麦食べ終わる前に舐めたんね」
仕方なく大玉を片方の頬に収めて蕎麦をすすったら、口の中はとてもおかしな味になった。しょっぱい涙の味もする。
「あのね、小舟さん」
退職のこと、蓮司さんのこと、父のこと、白川のこと。ブーケ。ダンジュに負けたくないこと。胸に溜めていたいろんなことが堰を切ったようにあふれてくる。
「悔しいことがあって、でも悔しがってる自分も嫌でね。それにもうすぐ仕事も辞めなくちゃいけなくてね。でも、家に戻っても会社を立て直せるか自信がなくて。好きな人にも信じてもらえなくてね」
事情を知らない小舟さんには支離滅裂なのに、それでも小舟さんはずっと「うん、うん」とうなずきながら聞いてくれた。
〝涙ぐんでいたらしい〟
見積書は昨日届けたばかりだ。昨夜、蓮司さんの帰りは遅かった。
私の知らないところで、仕事には関係ないところで、綾瀬花音と蓮司さんが会っていたことを知ってしまう言葉。
湯気に紛れて私は鼻をすすり続けた。
湯気なのか涙なのかわからないけれど、なんだかみっともないことになっている鼻をすする。
「あらぁ乃梨子ちゃん、蕎麦食べ終わる前に舐めたんね」
仕方なく大玉を片方の頬に収めて蕎麦をすすったら、口の中はとてもおかしな味になった。しょっぱい涙の味もする。
「あのね、小舟さん」
退職のこと、蓮司さんのこと、父のこと、白川のこと。ブーケ。ダンジュに負けたくないこと。胸に溜めていたいろんなことが堰を切ったようにあふれてくる。
「悔しいことがあって、でも悔しがってる自分も嫌でね。それにもうすぐ仕事も辞めなくちゃいけなくてね。でも、家に戻っても会社を立て直せるか自信がなくて。好きな人にも信じてもらえなくてね」
事情を知らない小舟さんには支離滅裂なのに、それでも小舟さんはずっと「うん、うん」とうなずきながら聞いてくれた。
〝涙ぐんでいたらしい〟
見積書は昨日届けたばかりだ。昨夜、蓮司さんの帰りは遅かった。
私の知らないところで、仕事には関係ないところで、綾瀬花音と蓮司さんが会っていたことを知ってしまう言葉。
湯気に紛れて私は鼻をすすり続けた。