蜜愛婚~極上御曹司とのお見合い事情~
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本音をすべて隠したまま日は過ぎ、退職と綾瀬花音のイベントを目前に控える六月の下旬、私と白川花壇にとっては衝撃的なニュースがもたらされた。橘ホテル大阪にブーケ・ダンジュのテナントが出店することが決定したというのだ。そうなれば客からの指定がない限り、ホテルで行われる催事の花材はすべてブーケ・ダンジュが受注することになる。事実上、白川花壇が橘ホテル大阪で取れる契約はなくなるということだ。
それを私に知らしめたのは最悪なことに綾瀬花音だった。
イベントを二日後に控えた直前打ち合わせでそれは起きた。
「そういえば、あなたも知っておいたほうがいいかもしれないわね」
それまでは私の顔などまともに見ることもなかった彼女が、珍しく正面からまっすぐに私を見つめた。私の表情の変化を楽しむようにゆったりと眺めながら彼女は一撃を加えた。
「橘ホテル大阪に、ブーケ・ダンジュがテナント出店することに決まったのよ。白川花壇には申し訳ないけれど、あなたの会社の大阪での受注はなくなるわ。まあもともとほとんどなかったっけ」
一瞬、体内の酸素がすべて押し出されたように息が止まったあと、私はなんとか笑みを浮かべて答えた。
本音をすべて隠したまま日は過ぎ、退職と綾瀬花音のイベントを目前に控える六月の下旬、私と白川花壇にとっては衝撃的なニュースがもたらされた。橘ホテル大阪にブーケ・ダンジュのテナントが出店することが決定したというのだ。そうなれば客からの指定がない限り、ホテルで行われる催事の花材はすべてブーケ・ダンジュが受注することになる。事実上、白川花壇が橘ホテル大阪で取れる契約はなくなるということだ。
それを私に知らしめたのは最悪なことに綾瀬花音だった。
イベントを二日後に控えた直前打ち合わせでそれは起きた。
「そういえば、あなたも知っておいたほうがいいかもしれないわね」
それまでは私の顔などまともに見ることもなかった彼女が、珍しく正面からまっすぐに私を見つめた。私の表情の変化を楽しむようにゆったりと眺めながら彼女は一撃を加えた。
「橘ホテル大阪に、ブーケ・ダンジュがテナント出店することに決まったのよ。白川花壇には申し訳ないけれど、あなたの会社の大阪での受注はなくなるわ。まあもともとほとんどなかったっけ」
一瞬、体内の酸素がすべて押し出されたように息が止まったあと、私はなんとか笑みを浮かべて答えた。