蜜愛婚~極上御曹司とのお見合い事情~
「では、打ち合わせを進めさせていただきますね。花材はバンケットルームに併設されている控え室に当日の朝に到着することになっておりますので、ブーケ・ダンジュさまのお手配をよろしくお願いいたします」


 花材に関しては彼女サイドの守備範囲になるので、私たちは管理する場所を提供するだけだ。


「そこにあるでしょ。花材発注書」

「はい。いただいております」


 ブーケ・ダンジュから届いている花材発注書になんとなく目を走らせた私は、そこで少し不安を感じた。


「三日目と四日目の花材はこの通りで間違いはございませんか?」


 イベントの後半日程は洋花のフラワーアレンジメントではなく華道の実演で、さらに茶道の家元を招き、お茶席を設けた会場と連結する。

 ところが発注書に並んだ花のリストは全日程が流行最先端の華やかな洋花だった。もちろん華道に洋花を用いることはまったく問題ないが、茶道では華美さを究極までそぎ落とした質素の美が是とされる。この花材では到底無理に思えた。いくら憎い相手でも、イベントを支える側として、彼女が失敗するのを見殺しにはできなかった。




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