蜜愛婚~極上御曹司とのお見合い事情~
「お茶席には少し華やかなようにお見受けしますが、リストはこれで全部でしょうか」


 しかしこれは出すぎた真似だった。退屈そうにスマートフォンを眺めていた綾瀬花音がむっとした顔を上げた。


「あなた風情がなに? 誰に向かって言ってるの?」


 伝統文化の扱いを一歩間違うと彼女がダメージを受けかねない。とはいえイベントの内容は彼女の裁量で行うもので、私が口出しすべきではないのだろう。


「たいへん失礼いたしました。申し訳ございません」


 思うところはいろいろあるけれど、すぐさま頭を下げた。

 そのとき、ノックの音がしてドアが開いた。ちょうど頭を下げていた私はすぐに見ることができなかったけれど、呆れるほどはっきりと声音が変わった綾瀬花音の言葉で誰が入ってきたのかわかった。


「鷹取部長!」


 頭を下げた姿勢のまま、一瞬硬直した。
 彼にだけはこんな姿を見られたくなかったのに。


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