蜜愛婚~極上御曹司とのお見合い事情~
でも見られた以上はこの場で私の口から説明しなければいけないと思い、一度顔を上げた私は再びふたりに向かって頭を下げた。
「私の失態です。申し訳ございませんでした」
「いいのよ、気にしないで」
綾瀬花音は蓮司さんに駆け寄り、彼の肘に手をかけてこちらを振り向きながら、今まで私には向けられたこともない優しい声で言った。あまりの切り替えの鮮やかさに唖然としたあと、もう不快感を通り越して笑いたくなってきた。
「ここからの打ち合わせは私が引き継ぎます」
彼女に向かって言った蓮司さんの言葉は、私に退出の指示を出しているのだろう。
「そうしてくださると安心です」
綾瀬花音のはしゃいだ声を聞きながら、自分のノートとペンだけを持って私は部屋を出た。蓮司さんの顔は一切見なかった。
彼女の声はもう聞こえなかったけれど、おそらく私に関する苦情をあることないこと蓮司さんに吹き込んでいるのだろう。あくまでも可愛らしく、被害者の顔で。
もう呆れてしまって、腹を立てる気力すらわかない。
「吐きそう……」
ずっと調子が悪かった胃がそろそろ限界に達しそうだ。
みぞおちのあたりをさすりながら、私は営業企画部までとぼとぼと廊下を戻っていった。
「私の失態です。申し訳ございませんでした」
「いいのよ、気にしないで」
綾瀬花音は蓮司さんに駆け寄り、彼の肘に手をかけてこちらを振り向きながら、今まで私には向けられたこともない優しい声で言った。あまりの切り替えの鮮やかさに唖然としたあと、もう不快感を通り越して笑いたくなってきた。
「ここからの打ち合わせは私が引き継ぎます」
彼女に向かって言った蓮司さんの言葉は、私に退出の指示を出しているのだろう。
「そうしてくださると安心です」
綾瀬花音のはしゃいだ声を聞きながら、自分のノートとペンだけを持って私は部屋を出た。蓮司さんの顔は一切見なかった。
彼女の声はもう聞こえなかったけれど、おそらく私に関する苦情をあることないこと蓮司さんに吹き込んでいるのだろう。あくまでも可愛らしく、被害者の顔で。
もう呆れてしまって、腹を立てる気力すらわかない。
「吐きそう……」
ずっと調子が悪かった胃がそろそろ限界に達しそうだ。
みぞおちのあたりをさすりながら、私は営業企画部までとぼとぼと廊下を戻っていった。